ALESSIA CERANTOLA
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ルポ・仮設—5(再会:大槌第10仮設団地)

3/10/2012

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遺影の前でこれから先の絆を誓い合うアレッシアさんと白銀さん=大槌町の第10仮設団地で

(ゆいっこ花巻:増子義久)


「カメを死なせてしまってごめんね」「うん、最初はショックだった。でもね、カメは照さんが元気なことを知らせるために3人の元に旅立ったのだと思うよ」 —。東日本大震災1周年を明日に控えた10日、イタリア人ジャ−ナリストのアレッシア・チャラントラさん(31)は白銀照男さん(62)との約8が月ぶり の再会で喜びを分かち合った。

白銀さんの母親のキノエさん(80)と妻のはち子さん(55)、それに一人娘の美由紀さん(33)=年齢はいずれも当時=は大震災で津波に飲みこまれ、今 も行方不明のままだ。3人の名前を叫びながら瓦礫(がれき)の上をさ迷う日々。アレッシアさんがそんな白銀さんの姿を目にとめたのは昨年7月下旬のこと だった。

「不思議なことってあるんだねぇ」と白銀さんはその時、一匹のカメをアレッシアさんに見せた。「1カ月ほど前のこと。車を運転して避難所に戻る途中、カメ がのろのろと前を横切ったんだよ。カメは長寿のシンボル。3人はどこかで生きているって、そのことを知らせるために私の前に現れたんじゃないかって…」。 この話を聞いたアレッシアさんが言った。「そのカメさんに私の名前を付けてくれたら嬉しいなぁ」

「アレちゃん」とカメに呼び掛けながらの生活もつかの間。残暑が続いた昨年8月下旬、ちょっと目を離したすきに水槽の中で死んでいるのが見つかった。「ア レッシアさんに悪いことをしてしまった」と白銀さんはずっと、そのことが気にかかっていた。そして、この日の再会。行方不明の3人の遺影の前で2人はこの 1年のことを語り合った。

「夜中にガラス窓をトントンと叩く音がしてハッと目が覚めることもあるんです。寝る前に玄関を開けて表の気配を探るクセもついてしまった。ひょっこりと 戻って来ているんじゃないかって…」「海の底には竜宮城があると日本では信じられている。そこに行けるのはカメだけなんだよ」と白銀さん。「そうよ、きっ と照さんのメッセ−ジを持ってね」とアレッシアさん。

「これは山や町の守り神の帽子。たいていのイタリア人がかぶっています」と言ってアレッシアさんはエ−デルワイスと鳥の羽をあしらった可愛らしいミニチュ アをプレゼントした。最近、仮設団地の自治会長に選ばれた白銀さんが言った。「大事にして、この仮設を守っていきます」。白銀さんは1周年の11日、兄弟 や孫たち11人と一緒に町が主催する追悼式典に参加する。


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